千葉市ゆかりの家・いなげ、愛新覚羅溥傑仮寓
2010年 10月 01日

・・・・・・清朝最後の皇帝愛新覚羅溥儀の弟・溥傑の新婚の家
今年の八月、千葉稲毛の旧神谷伝兵衛別邸を見に行った道すがらに出会ったのが、こちらの和風邸宅です。
邸宅前の看板を見ると、映画〔ラストエンペラー〕でもお馴染みの清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀の弟・愛新覚羅溥傑(1907~1994)と、その妻・浩(旧姓:嵯峨野、1914~1987)が昭和12年の新婚当初に暮らした家とのこと。私は妻の浩さんの著書『流転の王妃の昭和史』や、数年前に竹ノ内豊さん常盤貴子さんが主演したテレビドラマで、溥傑・浩夫妻が新婚当時千葉の稲毛で暮らしていた事は知っていましたが、その邸宅が現存していたとはこのとき初めて知りました。
皆さんもご存じのように溥傑の兄・溥儀は、日本の傀儡国家として作られた満州国の皇帝に即位。また溥傑も関東軍の政略により日本人の嵯峨野浩と昭和12年に結婚し、稲毛での約半年の暮らしののち満州国へと渡り波乱の人生を送ることになりましたが、そのような戦局が激しくなる時代など全く想像できない穏やかな家でありました。夫妻がこの家で暮らしていた頃、日中戦争が勃発するなど、日中情勢はさらに混乱を極めていくのですが、新婚当初の夫妻はこの家で日中両国の永遠の友好を望んでいたに違いありません・・・・・。

◎設計:不詳
◎施工:不詳
◎竣工:昭和初期?
◎構造:木造平屋
◎所在地:千葉市稲毛区稲毛1-16-12

稲毛を選んだのは陸軍学校に通う夫の便宜を考えてのことですが、家は稲毛駅から歩いて五分とかからない高台にあり、広い縁側に立つと、袖ヶ浦一帯の海を見渡すことができました。
「流転の王妃の昭和史」 愛新覚羅浩著より



同著より


同著より




同著より
