東京聖路加病院のトイスラー記念館
2010年 02月 09日
◎設計:J・V・W・バーガミニ (Jhon van Wie Bergamini)
◎施工:清水組
◎竣工:昭和8(1933)年
◎構造:木造2階建て
◎所在地:東京都中央区明石町10
先日、こちらのプログと別プログにて現在解体の危機に瀕している中央区立明石小学校(大正15年築)を紹介させていただきましたが、今回は明石小の隣にある聖路加病院内に建つトイスラー記念館を取り上げたいと思います。
聖路加病院の初代院長・トイスラーの名がつけられたこの記念館は、アントニン・レーモンドの後に聖路加病院の実施設計を引き継いだアメリカ人建築家・バーガミニの設計により建てられたものです。実は今までその存在は知りつつもつい素通りしてしていた建物ですが、今年の元旦に京都を訪れたさいに見たバーガミニ設計作品・平安女学院昭和館(昭和4年築)の質素ながら堅実な美しさに感動し、改めて聖路加病院を訪れた訳です。竣工時期は1933年という事で、そのころ流行していたロマンチィシズムを思わせる優雅な弧を描く屋根の造形を持ちながらも、建物細部のデザインには古典的な装飾が見られるなど、伝統と新しさを融合させた聖路加病院本棟と同様のコンセプトのデザインが施されているというのも今回の訪問で気づきました。
またこの記念館、今から十数年前におこなわれた同病院の大改築工事のさい一度は解体されることになっていたようですが、現在の場所に移築復元され、病院とこの地域の歴史を語る貴重なシンボル的存在となっています。明石小学校の歴史ある校舎も、解体するのではなく残すことでトライスラー記念館のようにこの地域の歴史を語る存在になって欲しいものです・・・・。