東京都中央区立明石小学校
2010年 02月 06日

・・・・・失くしてはいけない町の生きる文化財
この小学校については昨年別プログにて既に取り上げているが、その存在をもっと多くの方に知っていただきたいという願いを込めて、今回は改めて紹介する事にした。
中央区立明石小学校は、東京の築地の隣町・明石にある大正15年竣工の鉄筋コンクリート校舎。いわゆる関東大震災を機に、東京市内に数多く建てられた〔震災復興小学校〕と呼ばれる鉄筋コンクリート製校舎の一つである。そのデザインは優しく、かつ力強い。
また昨年の6月に機会があって校内を見学させていただく好運に恵まれた。
この明石小、鉄筋コンクリート製の建物ではあるが、木の廊下をはじめ校舎内は温もりに溢れていた。ちなみに筆者は東京郊外の新興住宅街に昭和40年代に新築されたコンクリート校舎で小学六年間を過ごしたが、監獄のように冷たく人間味がまるでない無機質な恐怖だらけのあの空間とはまったく違う、この温もりある校舎で小学生の六年間を過ごしてみたかったなともふと思ってしまった。また中央区は校舎保全の為にこまめに修繕予算をつぎ込み、築80年を過ぎた校舎とは思えないほど綺麗な状態に保たれているにも正直驚かされた。恐らくどの世代を問わず、この校舎で学んだ人たちは、心の中に共通の財産を持っているのではないだろうか。贅の限りを尽くした豪華な空間ではないが、心の奥底を癒してくれるような感覚にも襲われた。
しかし昨年、中央区はこの明石小をはじめ、昭和初期に建てられた明正 、中央(鉄砲洲)の各小学校舎の解体・新築計画を発表。明石小は今年2月に解体に伴うプレハブの仮校舎建設がおこなわれる事になっている。
なお中央区はこれらの小学校舎の解体については、函館の弥生小学校の解体問題と同様スケジュールの大枠が前もって決められ、それを一方的に押し通す形で進められているようだ。ちなみに区側は解体の理由について耐震強度の不足をあげているが、東京都選定歴史的建造物などに指定されている銀座の泰明小 、日本橋の常盤小は耐震補強の工事を実施し、従来の校舎を解体しない方向で話を進めている。メンテナンス的には、解体予定の小学校と保存される予定の小学校はほぼ同様の状態で、何を根拠にしてこのような線引きをしたのかという点も不明だ。
首都・東京の中心地である中央区にある明石小をはじめとする戦前築の小学校舎、新しいものが全ての答えではないと教えてくれる素晴らしい教材ではないかと思う。
80年以上に渡って大切に使われてきたこれらの町の宝を、急いでこの世から葬る前に、もっときちんとした議論が必要だと思うのだが・・・・・。
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◆なお明石小の解体問題については、明石小学校校舎を守るために 、ありがとう明石小学校舎☆幼稚園舎をご参照ください。

◎設計:東京市
◎施工:竹田組
◎竣工:大正15(1926)年8月28日
◎構造:鉄筋コンクリート造り3階建て
◎所在地:東京都中央区明石1-15










