横浜山手のエリスマン邸
2009年 05月 23日
◎設計:アントニン・レーモンド
◎施工:清水組
◎竣工:大正15(1926)年
◎移築:平成2(1990)年
◎構造:木造2階建て
◎所在地:神奈川県横浜市中区元町1丁目・元町公園内
今月は横浜都市発展記念館でおこなわれている展示企画・横浜建築家列伝で紹介されている建築家が設計した作品を取り上げてきましたが、今回と次回の2回は横浜ゆかりの建築家:アントニン・レーモンド(1889~1976)の作品をご覧いただきたいと思います。
本日ご覧いただいているエリスマン邸は、レーモンド設計により山手127番地に大正15(1926)年に竣工した洋館。旧所在地のマンション建設に伴い、平成2(1990)年に外人墓地隣の元町公園内に移築されたものです。現在横浜山手には数軒の西洋館が横浜市の管理により無料公開されていますが、いちばん最初に公開されたのがこのエリスマン邸でした。
レーモンドといえば日本にモダンな建築スタイルを紹介した建築家として知られますが、このエリスマン邸もドイツ下見板や鎧窓など伝統的なスタイルを用いつつも、全体的にシンプルな出来栄えで、レーモンドがこの後モダニズムへと作風を変えていく兆候が窺える作品といわれています。また一般の公開はされていませんが、同じ山手にある旧ライジングサン石油社宅(現フェリス女学院10号館、昭和4年築)など、レーモンドの原点ともいえる作品も現存しています。また次回は少し足をのばして、横浜本牧に現存するレーモンド作品を紹介したいと思います。