横浜・旧根岸競馬場一等馬見所
2009年 05月 10日
◎設計:J・H・モーガン(J・H・Morgan)
◎施工:大倉土木
◎竣工:昭和4(1929)年
◎構造:鉄骨鉄筋コンクリート造り
◎所在地:神奈川県横浜市中区根岸台・根岸森林公園内
前3回は横浜ゆかりのアメリカ人建築家:J・H・モーガン(1877~1937)の横浜山手に残る設計作品を紹介させていただきましたが、今回は少し足を延ばして横浜の根岸へ行ってまいりました。根岸森林公園内に残るJ・H・モーガンの設計作品の一つ、旧根岸競馬場の観覧席を見るためです。
根岸へ訪れたのは約5年振り。JR根岸線の山手駅を下車し、地図も持たずおおよその記憶を頼りに歩きだしたものの、まったくの正反対の場所に行ってしまい、気付いたら坂下にあたる山元町に辿り着うなど、かなり遠周りな散歩になってしまいました(苦笑)。ですが、この山元町からも三つの搭が付いた旧根岸競馬場のスタンドは一目で分かり、その存在感の大きさに圧倒された今回の訪問でした。
現在は米軍キャンプと米軍住宅に囲まれて肩身の狭い感じのする旧競馬場スタンドですが、昭和3年から現存する一等観覧席と、その倍の収容人員を誇る二等観覧席が建設されています。冒頭の写真の左手に二等スタンドがあったそうです。またこの当時には兵庫県西宮市の阪神甲子園球場、東京の神宮球場など鉄筋鉄骨コンクリート造りの大人員を収容する施設も竣工していましたが、競馬場に関してはこの旧根岸競馬場が大規模スタンドの先駆けだったようです。
今は廃墟となった旧根岸競馬場ですが、外国人文化が華やかだった戦前から米軍接収の時代、そして現代までを見つめ続けてきた根岸のモニュメント的な建物といえるでしょう。建物のところどころに残る装飾から、当時の競馬場の賑わいを想像してしまった今回の訪問でした。