東京日本橋の近三ビル(旧森五商店)
2009年 04月 26日

◎設計:村野藤吾
◎施工:竹中工務店
◎竣工:昭和6(1931)年
◎構造:鉄骨鉄筋コンクリート造り8階建て(竣工時は7階建て)
◎所在地:東京都中央区日本橋室町4-1-21
❖東京都選定歴史的建造物
東京日本橋の数多く残る近代建築で、忘れてはいけない存在がこの近三ビル(旧森五商店)でしょう。
昭和6年に竣工した茶タイルのこのビルは、日本橋に鎮座する日銀本店、三井本館、三越などの装飾性豊かな建物に比べますとまったく装飾もなく、もしかしたら興味をひかないという方もいらっしゃるかも知れません。設計は昭和の日本建築界をリードした建築家・村野藤吾(1891~1984)。村野は建築家・渡辺節の事務所に在籍したあと独立、そのデビュー作にあたるのがこの旧森五商店だといいます。
またこのビルの魅力は、その簡素さ。このころ日本に滞在していたドイツ人建築家:ブルーノ・タウトは雑誌『婦人の友』の企画〔ブルーノ・タウト氏と東京を歩く〕のなかで、この森五商店について「日本の伝統と現代的価値との驚くべき融合」と感想を述べています。つまり西欧のモダニズムの形を通してはいますが、日本人が兼ね備えた美を村野はこのビルに体現させたということをタウトは絶賛したのではないかと私は考えます。余分な贅肉を削ぎ落とし出来たのが、この簡素な美しいビルです。
近代建築というと古典的な装飾が施されたものに注目が集まりがちですが、西欧のモダニズムとはまた異なったこのビルにこそ、日本人が忘れかけた美が宿っているのではないかと思います。








今年に入って旧乾邸に商船三井ビル、自泉会館と渡辺節の作品を見てきたのですが、外観的には作風が全く違いますね。
今でこそ似たような建物は山のようにありますが、当時はこのようなシンプルモダンの建物は斬新だったんでしょうね。
村野藤吾の作品は戦後の物が多いのでほとんど見学した事もなく、私の中ではまだイメージが掴み切れてないです(汗)。
以前、一緒に建築探訪をしたときにも何軒か前を通りましたが、東京にも村野さんの作品はかなりあります。戦前・戦後を問わず村野さんの美学が貫かれており、やはり見逃すことはできません。
戦後の作品も機会があったら、何軒か紹介してみますので<m(__)m>
