東京日本橋の高島屋
2009年 04月 04日

◎設計:高橋貞太郎、前田健二郎
◎施工:大林組
◎竣工:昭和8(1933)年
◎構造:鉄骨鉄筋コンクリート造り7階建て
◎所在地:東京都中央区日本橋2-4-1
❖東京都選定歴史的建造物
前回の野村證券に引き続き、本日も日本橋界隈に残る近代建築の紹介です。今回取り上げさせていただく高島屋日本橋店は、日本橋から中央通りを銀座方面にすすんだところにある、昭和8年築のレトロ建築。日本橋を代表する名建築のひとつといえるものです。
ルネサンス風の豪華絢爛なこのデパート設計は、建築家の高橋貞太郎(1892~1970),が担当。高橋の設計作品は東京港区白金の服部金太郎(セイコーの創業者)邸、また戦後の作品になりますが東京内幸町の帝国ホテルの新館などが現存しています。当初この建物は、デパートとしてではなく日本生命所有のビルとして建てられはじめましたが、途中高島屋が借りることになり設計が一部変更されたといいます。少し余談になりますが、銀座松屋も、当初は第一徴兵保険の自社ビルとして建てられ始めたものを、デパート仕様に設計を変更し竣工に至ったものです。
日本橋高島屋の外観はルネサンス風を基調にしながらも、玄関の細部装飾は和風をモチーフとしたアールデコ装飾が施されていたり、昭和初期らしいモダンさも窺えるデザイン。
高島屋日本橋店竣工以前この界隈では、古くから日本橋に店舗を構えていた老舗呉服店の白木屋は表現派といわれるモダンデザイン(現存せず)、三越は関東大震災で焼失した以前の店舗の外観を継承した店舗を竣工させています。そして日本橋に本格出店する事になった高島屋としても、どう日本橋の老舗デパートと張り合う店舗を作るかということが念頭に置かれていたのではないかと思います。堅実ながらも隠し味でモダンな要素を加味した高島屋のデザインには、当時の日本橋デパート事情が関係していたのではないかとも私は考えています。
また店舗内の見どころは、1階のエレベーターホール周辺の吹き抜けと地下の大階段。この建物の竣工と前後して現在の地下鉄銀座線が開通していますから、地下鉄からの乗降客を見据えてこのような大階段が設置された訳ですが、地下から地上にあがるあのワクワク感は昭和初期の人達も同じだったのではないかと思います・・・・・。












