東京日本橋の野村證券本店
2009年 04月 02日

◎設計:安井武雄
◎施工:大林組
◎竣工:昭和5(1930)年
◎構造:鉄骨鉄筋コンクリート造り7階建て
◎所在地:東京都中央区日本橋1-9
これまでの横浜の建築紹介はしばらくお休みして、今回からは東京・日本橋に残る近代建築をおこないたいと思います。
そういう事で最初の紹介は、日本橋際に建つレトロなビルディング・旧日本橋野村ビルです。
設計は建築家・安井武雄(1884~1955)によるもの。安井は若き日に中国に渡り、大連を中心に満鉄(南満州鉄道)の営繕係として活動したのち日本へ帰国、主に関西・東京で活躍した人物です。また中国時代から様式に束縛されないその作風は、『自由様式』という名で現在は紹介されています。
そして安井の東京における代表作のひとつがこの野村ビルなのですが、自由様式という評価の通り軒周りには江戸格子のようなデザインが用いられていたり、現在日本橋に現存する戦前築の建物とはまた一味違った雰囲気を漂わせています。
またこのビルを見るたび、安井武雄のこのデザイン、施主である野村財閥のプライドを代弁したものではないかと私は思ってしまいます。
野村財閥は関西が発祥の明治期に創立した会社。川を挟んだ対岸には江戸時代より老舗・三井がこの日本橋に鎮座していた訳ですから、当時はどちらかというと新興の会社だった野村はむやみやたらに出しゃばらず、なおかつ人々の印象に残るビルをという要求を安井に託し、このデザインに至ったのではないかとも想像してしまいます。
またこのビル、よく目立つ一等地に建っているのも特徴としてあげられます。日本橋の脇という立地は勿論ですが、神田駅下を通る中央通りから日本橋方面をご覧になってください。遥か遠くに茶色のタイルと白のコントラストが美しい野村ビルを見つけることができると思います。竣工当初は首都高はなかった訳ですから、現在より更に目立った建物だったのではないでしょうか・・・・・?。
存在感、品格とも優れた野村ビル、日本橋では不可欠な風景といえるでしょう。










