◆EF55型電気機関車 ◎基本設計:鉄道省
◎車体製造:日立製作所
◎運用開始:昭和11(1936)年
◎運用修了:平成21(2009)年
◎車体構造:鋼鉄製
◎保存場所:埼玉県さいたま市大宮区大成町3-47・鉄道博物館内
今から6年前の平成27(2015)年に訪れた埼玉県大宮の鉄道博物館。地元プロ野球チームの本拠地球場以外は人混みのある場所には滅多に出かけませんが、この日はこの年に同博物館で公開が始まった鉄道車両を見に、電車を何度も乗り換えて鉄道博物館を訪ねた次第です。
その鉄道車両とは日本国有鉄道(現JR東日本)が所有していたEF55型電気機関車です。カバのような独特のフォルムのこの電気機関車は、昭和11(1936)年に国鉄の前身の鉄道省により設計され、日立製作所、日本車両製造・富士電機、川崎車両で製造され、戦前は東海道本線の特急電車の牽引、戦後は高崎などで運用されていたそうです。
この電気機関車の最大の特徴といえば、流線型のこのフォルム。空気抵抗を削減させ走行速度を向上させるために考案されたものだそうで、当時の鉄道車両には幾つか流線型の車両が製造されたといいます。但しこのEF55型、流線型の割りには走行速度の向上に繋がらないなどの欠点もあったそうで、3両のみの製造で終わってしまいました。
しかしそれまで武骨だった鉄道車両のデザインに、美しさを追求したという点では歴史的な価値があると思います。この時代の建築文化を研究している者にとっては、昭和初期のモダニズム文化を満喫できた素敵な鉄道車両でした。
背面は流線形とは一転し切妻型の造形となっている。