旧横浜正金銀行門司支店(現北九州銀行門司支店)
2015年 05月 09日
◎設計:桜井小太郎
◎施工:竹中工務店
◎竣工:昭和9(1934)年
◎構造:鉄筋コンクリート造2階建て
◎所在地:北九州市門司区清滝2-3-4
本日、別ブログにて旧三井物産門司支店(昭和12年築)を紹介しましたが、そのビルディングの前にあるのが桟橋通り。明治期から昭和初期にかけては銀行や商社が軒を連ねる一帯だったそうですが、今はその時代を偲べるものは殆ど残っていません。その中で当時を偲ぶことができる数少ない遺構が、清滝にある旧横浜正金銀行の門司支店でしょう。戦後は横浜正金銀行の解体に伴い、山口銀行の門司支店などに使われ、2011年からは山口銀行傘下の北九州銀行の支店として使われています。
横浜正金銀行と言えば貿易融資や外国為替を専門に行っていたことで知られますが、国内の出店は主要な貿易港に限られておりましたので、いかに門司が重要な土地だったかが伺えます。また門司支店の設計は、英国王立建築家協会の資格も持つ桜井小太郎(1870~1953)が担当。古典主義のデザインを継承しつつ、昭和初期のオフィスビルらしく非常にスマートに纏められているのも、この銀行店舗の特徴と言えるでしょう。
またこの周辺には小規模な銀行店舗や商店が、近年まで建っていましたが、ここ十年の間で殆ど解体されてしまっています。旧横浜正金銀行は貿易港・門司の歴史を語る遺構として、末永く生き続けて欲しいものです・・・・・。