神戸相楽園の旧小寺家厩舎
2010年 07月 31日
◎設計:河合浩蔵
◎施工:直営
◎竣工:明治43(1910)年頃
◎構造:煉瓦造り2階建て
◎所在地:兵庫県神戸市中央区山本通5-3-1、相楽園内
❖国指定重要文化財
相楽園内には旧ハッサム邸のほかに明治期竣工の近代建築がもう一棟建っています。それが今回紹介する旧小寺家厩舎で、明治40年代に建築家・河合浩蔵(1856~1934)の設計により建てられたものです。なおこの相楽園は小寺家の屋敷だった場所ですので、ハッサム邸とは違いこちらは当時よりこの場所に建っていたようです。
こちらの厩舎の設計を手掛けた河合浩蔵はドイツ留学の経験を持ち、東京霞が関の法務省庁舎の建設に携わった後、明治30年代中ごろより神戸を拠点として数多くの建築設計を手掛けています。なお現在神戸市内には何軒かの作品が現存していますが、その中の一つが旧小寺家厩舎です。また赤煉瓦を露出させた外壁に円形の塔屋や2階のハーフティンバーのデザインなど、どちらかというとドイツ風建築の味も出てますが、日本人らしい落ち着きというのですが実直さをこの建物から感じてしまいます。この直前に風見鶏の館の名称でお馴染みの旧トーマス邸(設計:デ・ラランデ)を見たのですが、同時期に竣工し同じ作風の建物でも、日本人とドイツ人が設計を手掛けるとこれだけ雰囲気が変わるのかとも感心してしまいました。神戸異人館の中ではちょっと異色な存在ですが、個人的にはとても大好きな建物です・・・・。