川越の手打ちそば百丈
2010年 02月 27日

◎設計:不詳
◎施工:不詳
◎竣工:昭和5(1930)年
◎構造:木造銅版貼り3階建て
◎所在地:埼玉県川越市元町1-9
❖国登録有形文化財
埼玉県川越市というと黒漆喰が塗られた江戸風の蔵造り商家が数多く点在していることから、〔小江戸〕と呼ばれているのは皆さんもご存じだと思いますが、その他にも小江戸と呼びたくなるような建築群が多く現存しています。それは〔看板建築〕と呼ばれるもので、大正12年の関東大震災後に防火対策として木造家屋の外壁に銅版やモルタルやタイルなどを張ったり塗ったりする建築群が、東京下町を中心に数多く出現しています。またこの看板建築というスタイルは間もなくここ川越にも飛び火したようで、町の至る所に小洒落た大衆的な建物が現存しています。
そしてその代表的な作品と言えるのが、現在手打ちそばのお店として使われている旧湯宮釣具店でしょう。2階と3階に銅版が貼られ、時代の経過とともに醸し出された美しい緑青の色合いが印象的な建物ですが、各階の窓上のペディメントや2階窓間に設けられたオーダーの装飾など、古典主義の建築様式を意識したそのデザインは見事と言いたくなる出来栄えです。この建物を建てた施主と棟梁の心意気が伝わってくるような、川越の隠れた名建築の一つであります。





