<   2010年 02月 ( 7 )   > この月の画像一覧

川越のレストラン太陽軒

a0110756_20114911.jpg
◆レストラン太陽軒
  ◎設計:斉藤玉吉
  ◎施工:斉藤玉吉
  ◎竣工:昭和4(1929)年
  ◎構造:木造モルタル塗り2階建て
  ◎所在地:埼玉県川越市元町1-1
   ❖国登録有形文化財


この太陽軒は前回紹介した手うちそば百丈を南に2~3分歩いた場所に建つ老舗レストラン。小路の奥まった所にあるので初めてここを訪れる方は場所が少し分かりづらいかも知れませんが、元町のスカラ座という映画館の隣にありますので、その案内看板を目安に進めばこのレトロモダンなレストランに辿りつくと思います。
この太陽軒、東京早稲田の洋食屋で修業したオーナーが開業したレストランとのことで、現在の建物は昭和4年に竣工したものだと言います。施工は地元の棟梁・斉藤玉吉が担当したそうですが、昭和初期の竣工ということもあってか、その時代のモダン建築の影響を受けた作風が特徴としてあげられます。そしてその最大の箇所と言うのが、建物2階角に取り付けられた二つの半円形の小窓でしょう。これは当時国内の建築界で全盛を極めていた〔ドイツ表現派〕のデザインを取り入れたもので、このようなモダンデザインが町の棟梁にも浸透していたということは、ドイツ表現派の建築スタイルがいかにインパクトがあったかが伺えます。但しこの太陽軒の半円形の窓の間には、モダンデザインとは対極をなす古典建築によく用いられているアカンサスを葉をかたどったオーダーが施されているのはご愛敬でしょう・・・・・・。
a0110756_20132923.jpg
a0110756_20171393.jpg
a0110756_20184343.jpg
a0110756_20201239.jpg
a0110756_20212939.jpg
a0110756_20225687.jpg
a0110756_20233264.jpg

[PR]
by tokyo-farwest-net | 2010-02-28 00:28 | ■埼玉・川越

川越の手打ちそば百丈

a0110756_19261283.jpg
◆手打ちそば百丈、旧湯宮釣具店
  ◎設計:不詳
  ◎施工:不詳
  ◎竣工:昭和5(1930)年
  ◎構造:木造銅版貼り3階建て
  ◎所在地:埼玉県川越市元町1-9
   ❖国登録有形文化財


埼玉県川越市というと黒漆喰が塗られた江戸風の蔵造り商家が数多く点在していることから、〔小江戸〕と呼ばれているのは皆さんもご存じだと思いますが、その他にも小江戸と呼びたくなるような建築群が多く現存しています。それは〔看板建築〕と呼ばれるもので、大正12年の関東大震災後に防火対策として木造家屋の外壁に銅版やモルタルやタイルなどを張ったり塗ったりする建築群が、東京下町を中心に数多く出現しています。またこの看板建築というスタイルは間もなくここ川越にも飛び火したようで、町の至る所に小洒落た大衆的な建物が現存しています。
そしてその代表的な作品と言えるのが、現在手打ちそばのお店として使われている旧湯宮釣具店でしょう。2階と3階に銅版が貼られ、時代の経過とともに醸し出された美しい緑青の色合いが印象的な建物ですが、各階の窓上のペディメントや2階窓間に設けられたオーダーの装飾など、古典主義の建築様式を意識したそのデザインは見事と言いたくなる出来栄えです。この建物を建てた施主と棟梁の心意気が伝わってくるような、川越の隠れた名建築の一つであります。

a0110756_19271947.jpg
a0110756_19281165.jpg
a0110756_19305394.jpg
a0110756_19321182.jpg
a0110756_19331713.jpg

[PR]
by tokyo-farwest-net | 2010-02-27 23:27 | ■埼玉・川越

川越・中成堂歯科医院

a0110756_1955873.jpg
◆中成堂歯科医院
  ◎設計:印藤順造
  ◎施工:印藤順造
  ◎竣工:大正2(1913)年
  ◎構造:木造2階建て
  ◎所在地:埼玉県川越市幸町14


先日のリストランテ・ベニーノに引き続き、今回も川越市内に残る木造下見板張りの洋館を紹介したいと思います。
この中成堂歯科医院は川越の観光名所として知られる蔵造り通りの西側建つ大正2年竣工の洋館です。少々分かりづらい場所にありますが、蔵造り通りに建つ大正モダンなデザインで有名な埼玉りそな銀行川越支店(旧八十五銀行本店)前の駐車場を抜けていただければ、この洋館を見つけていただけると思います。また以前は少し朽ち果てた感じの建物でしたが、約十年前より歯科医院として再生活用され、ご覧のように往年の輝きを取り戻しております。
なおこの歯科医院は小振りな建物でありますが、大正初期らしい軽やかなデザインが印象的です。なお設計・施工は、先に紹介した旧八十五銀行の施工を手掛けた地元の棟梁・印藤順造が担当したとのこと。旧八十五銀行と共に川越が誇る大正モダン建築と言いたくなるような素晴らしい建築作品であります。

a0110756_19574179.jpg
a0110756_1959970.jpg
a0110756_2005482.jpg
a0110756_2022749.jpg
a0110756_204542.jpg
a0110756_2051251.jpg
a0110756_2061742.jpg

[PR]
by tokyo-farwest-net | 2010-02-23 23:23 | ■埼玉・川越

川越のリストランテ・ベニーノ

a0110756_2036986.jpg
◆リストランテ・ベニーノ
  ◎設計:不詳
  ◎施工:不詳
  ◎竣工:昭和2(1927)年
  ◎構造:木造2階建て
  ◎所在地:埼玉県川越市田町5
   ❖国登録有形文化財

本日紹介するこちらの洋館は、前回の六軒町の古民家群のすぐそばに建つレストラン。六軒町の蔵造りや和風商家の重厚な佇まいから一転、こちらは洋風下見板張りの明るい雰囲気が印象的な建物です。竣工当初は材木会社の銘木展示場として使われ、その後は郵便局としても使われていたそうです。
またこの建物がある敷地はVの字を広げたような状態なのですが、それを上手く活かし写真左手の土地が狭まった部分の2階部分に大きな窓ガラスと破風が付けられているのですが、これが道行く人の目をとめるインパクトを持っているように思えます。恐らく地元の棟梁が設計・施工に携わったと考えられますが、そのセンスの良さに感心してしまう作品です。川越というと蔵の町というイメージが先行してしまいますが、このような優れた洋風建築の存在も忘れてはいけないと思います・・・・。

a0110756_2104134.jpg
a0110756_2121694.jpg
a0110756_2131386.jpg
a0110756_2141325.jpg
a0110756_2154677.jpg
a0110756_21714.jpg
a0110756_2110167.jpg
a0110756_217447.jpg

[PR]
by tokyo-farwest-net | 2010-02-22 22:22 | ■埼玉・川越

川越市六軒町の蔵造り商家群

a0110756_18454292.jpg
◆川越市六軒町の街並み


先日久しぶりに川越を訪ねたので、今回から数回に渡ってそれらの写真を紹介していきたいと思います。
まず最初に紹介するのが六軒町。西武新宿線の本川越駅から西に五百メートルほど歩いた場所にある町ですが、蔵造り風商家や伝統的な和風商家が幾つか現存しており、なかなか風情ある一帯です。恐らく狭山・入間方面に抜ける交通の要所としてこの一帯は発展したと思われます。但し観光案内などでは殆ど紹介されておらず、穴場ともいえる地域と言えるでしょう。観光のメインルートから歩いてもそれほどの時間がかからない場所にあるので、関心のある方は一度訪れて欲しい川越らしい街並みです。

a0110756_1903115.jpg
a0110756_1925663.jpg
a0110756_198380.jpg
a0110756_1992734.jpg
a0110756_19102257.jpg
上2点で紹介した和風商家に付属して建てられた洋館。装飾のデザインがセセッション風なのが洒落ている。
a0110756_19132829.jpg
a0110756_1915697.jpg
a0110756_19173479.jpg
a0110756_19195226.jpg

[PR]
by tokyo-farwest-net | 2010-02-21 19:20 | ■埼玉・川越

東京聖路加病院のトイスラー記念館

a0110756_19183092.jpg
◆聖路加病院・トイスラー記念館
  ◎設計:J・V・W・バーガミニ (Jhon van Wie Bergamini)
  ◎施工:清水組
  ◎竣工:昭和8(1933)年
  ◎構造:木造2階建て
  ◎所在地:東京都中央区明石町10


先日、こちらのプログと別プログにて現在解体の危機に瀕している中央区立明石小学校(大正15年築)を紹介させていただきましたが、今回は明石小の隣にある聖路加病院内に建つトイスラー記念館を取り上げたいと思います。
聖路加病院の初代院長・トイスラーの名がつけられたこの記念館は、アントニン・レーモンドの後に聖路加病院の実施設計を引き継いだアメリカ人建築家・バーガミニの設計により建てられたものです。実は今までその存在は知りつつもつい素通りしてしていた建物ですが、今年の元旦に京都を訪れたさいに見たバーガミニ設計作品・平安女学院昭和館(昭和4年築)の質素ながら堅実な美しさに感動し、改めて聖路加病院を訪れた訳です。竣工時期は1933年という事で、そのころ流行していたロマンチィシズムを思わせる優雅な弧を描く屋根の造形を持ちながらも、建物細部のデザインには古典的な装飾が見られるなど、伝統と新しさを融合させた聖路加病院本棟と同様のコンセプトのデザインが施されているというのも今回の訪問で気づきました。
またこの記念館、今から十数年前におこなわれた同病院の大改築工事のさい一度は解体されることになっていたようですが、現在の場所に移築復元され、病院とこの地域の歴史を語る貴重なシンボル的存在となっています。明石小学校の歴史ある校舎も、解体するのではなく残すことでトライスラー記念館のようにこの地域の歴史を語る存在になって欲しいものです・・・・。

a0110756_19301177.jpg
a0110756_19314127.jpg
a0110756_19324917.jpg
a0110756_1934932.jpg
a0110756_19353772.jpg
a0110756_19374969.jpg
a0110756_19364731.jpg
a0110756_19383370.jpg

[PR]
by tokyo-farwest-net | 2010-02-09 21:09 | ■東京・23区

東京都中央区立明石小学校

a0110756_17574523.jpg
◆中央区立明石小学校
  ・・・・・失くしてはいけない町の生きる文化財



この小学校については昨年別プログにて既に取り上げているが、その存在をもっと多くの方に知っていただきたいという願いを込めて、今回は改めて紹介する事にした。
中央区立明石小学校は、東京の築地の隣町・明石にある大正15年竣工の鉄筋コンクリート校舎。いわゆる関東大震災を機に、東京市内に数多く建てられた〔震災復興小学校〕と呼ばれる鉄筋コンクリート製校舎の一つである。そのデザインは優しく、かつ力強い。

また昨年の6月に機会があって校内を見学させていただく好運に恵まれた。
この明石小、鉄筋コンクリート製の建物ではあるが、木の廊下をはじめ校舎内は温もりに溢れていた。ちなみに筆者は東京郊外の新興住宅街に昭和40年代に新築されたコンクリート校舎で小学六年間を過ごしたが、監獄のように冷たく人間味がまるでない無機質な恐怖だらけのあの空間とはまったく違う、この温もりある校舎で小学生の六年間を過ごしてみたかったなともふと思ってしまった。また中央区は校舎保全の為にこまめに修繕予算をつぎ込み、築80年を過ぎた校舎とは思えないほど綺麗な状態に保たれているにも正直驚かされた。恐らくどの世代を問わず、この校舎で学んだ人たちは、心の中に共通の財産を持っているのではないだろうか。贅の限りを尽くした豪華な空間ではないが、心の奥底を癒してくれるような感覚にも襲われた。

しかし昨年、中央区はこの明石小をはじめ、昭和初期に建てられた明正中央(鉄砲洲)の各小学校舎の解体・新築計画を発表。明石小は今年2月に解体に伴うプレハブの仮校舎建設がおこなわれる事になっている。
なお中央区はこれらの小学校舎の解体については、函館の弥生小学校の解体問題と同様スケジュールの大枠が前もって決められ、それを一方的に押し通す形で進められているようだ。ちなみに区側は解体の理由について耐震強度の不足をあげているが、東京都選定歴史的建造物などに指定されている銀座の泰明小日本橋の常盤小は耐震補強の工事を実施し、従来の校舎を解体しない方向で話を進めている。メンテナンス的には、解体予定の小学校と保存される予定の小学校はほぼ同様の状態で、何を根拠にしてこのような線引きをしたのかという点も不明だ。

首都・東京の中心地である中央区にある明石小をはじめとする戦前築の小学校舎、新しいものが全ての答えではないと教えてくれる素晴らしい教材ではないかと思う。
80年以上に渡って大切に使われてきたこれらの町の宝を、急いでこの世から葬る前に、もっときちんとした議論が必要だと思うのだが・・・・・。

*******************************************************************************************************
◆なお明石小の解体問題については、明石小学校校舎を守るためにありがとう明石小学校舎☆幼稚園舎をご参照ください。

a0110756_18068.jpg
◆東京都中央区立明石小学校(旧東京市立明石尋常小学校)
 ◎設計:東京市
 ◎施工:竹田組
 ◎竣工:大正15(1926)年8月28日
 ◎構造:鉄筋コンクリート造り3階建て
 ◎所在地:東京都中央区明石1-15
a0110756_18131178.jpg

a0110756_1824861.jpg
a0110756_1864065.jpg
a0110756_1875945.jpg
a0110756_18114368.jpg
a0110756_18154259.jpg
a0110756_1826577.jpg
a0110756_18244349.jpg
a0110756_18274569.jpg
a0110756_182954100.jpg

[PR]
by tokyo-farwest-net | 2010-02-06 19:06 | ■東京・23区