カテゴリ:■埼玉・川越( 13 )

川越の旧山吉デパート

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◆旧山吉デパート
  ◎設計:保岡勝也
  ◎施工:不詳
  ◎竣工:昭和11(1936)年
  ◎構造:鉄筋コンクリート造3階建て
  ◎所在地:埼玉県川越市仲町6-6


川越蔵造り通りに残る戦前築の洋風建築と言えば、ドーム屋根の旧八十五銀行本店:現埼玉りそな銀行川越支店(大正7年築)が代表的な建造物としてあげられますが、もうひとつ忘れてはいけないとても素敵な建物があります。それが今回紹介する旧山吉デパートです。
鉄筋コンクリート製3階建てのこのビルディングは、昭和11年に川越初の高級デパートとして建てられたもので、設計は先に紹介した旧八十五銀行の設計を手掛けた建築家・保岡勝也(1877~1942)が担当しています。保岡は明治末に三菱の営繕課に在籍し同社関連の建造物を数多く手掛けましたが、大正2年に個人の設計事務所を開設、それから間もない時期に川越貯蓄銀行本店(大正5年築:現存せず)、そして八十五銀行本店の設計を手掛けています。恐らく川越山吉デパートの経営陣は、そのような実績を買って保岡に設計を依頼したのでしょう。
建物の規模は大都市にあるデパート建築に比べれば小規模なものですが、竣工当初は屋上に庭園が設けられ、玄関周辺にはステンドグラス取り付けられるなどとても華のある建物だったようです。またこの建物今から数年前まで空き家の状態でしたが、現在は歯科医院として再生活用されご覧のような美しい姿へと生まれ変わっています。川越を訪れた際には是非とも注目していただきたい、昭和初期の川越のモダンぶりが伺える素敵な建物であります・・・・・。

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by tokyo-farwest-net | 2010-03-16 20:16 | ■埼玉・川越 | Comments(0)

川越蔵造り通りの田中屋

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◆蔵造り通りの田中屋
  ◎設計:不詳
  ◎施工:不詳
  ◎竣工:大正4(1915)年
  ◎構造:木造モルタル塗り2階建て
  ◎所在地:埼玉県川越市仲町6-4


川越の蔵造り通りには黒漆喰塗りの和風商家のほか、旧八十五銀行本店など大正から昭和初期に建てられた洋風建築が数多く現存していますが、この田中屋もその中のひとつです。
もとは輸入自転車の販売店として大正4年に建てられたそうですが、西欧の古典建築をベースにしながら玄関脇に施されたルネサンス風のモチーフが簡略化したデザインなどは、いかにも大正期らしいものであります。先に紹介したように竣工当初は輸入自転車の販売店ということで、施主やこの建物を造った棟梁は、皆の注目をいかに集めるかということに知恵を絞ったのではないかと思える建物であります。竣工より九十数年経った現在でも、そのインパクトは失われていない川越の誇る洋風建築の一つと言えるのではないでしょうか。

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by tokyo-farwest-net | 2010-03-10 20:10 | ■埼玉・川越 | Comments(0)

川越蔵造り通りのモダン洋風長屋

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◆蔵造り通りのモダン洋風長屋
  ◎設計:斉藤玉吉
  ◎施工:斉藤玉吉
  ◎竣工:昭和7(1932)年
  ◎構造:木造モルタル塗り2階建て
  ◎所在地:埼玉県川越市幸町1


今回紹介するのは川越・蔵造り通り脇の小路に建つ四軒続きの長屋。
ちょっと控えめな感じもしますが、よく見るとなかなか洒落たデザインが施されており、個人的には川越でのお気に入りの建物(風景)の一つです。
このモダンな洋風長屋の建設を手掛けたのは、前回のレストラン太陽軒の施工も手掛けた地元棟梁の斉藤玉吉。なぜこんな狭い路地にこんな洒落た長屋を建てたかというと、昭和初期この場所は道路の拡張計画があったそうで、このすぐそばに店舗を構える山吉デパートが、それに先だってこの四軒の建物を貸店舗用として建設したといいます。しかしその計画は頓挫、結果この狭い路地に四軒のモダン長屋は隠れるように生きる運命になった訳です。
個人的な感想としては、この長屋はこの場所にあってこそ絵になっていると思いますが、当時この長屋を建てた関係者たちは道路拡張計画の頓挫に涙したのでしょうね・・・・。

★参考文献・・・・・「小江戸ものがたり」 第四号、特集:川越の洋風建築、川越むかし工房発行、2003年
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by tokyo-farwest-net | 2010-03-06 18:06 | ■埼玉・川越 | Comments(0)

川越のレストラン太陽軒

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◆レストラン太陽軒
  ◎設計:斉藤玉吉
  ◎施工:斉藤玉吉
  ◎竣工:昭和4(1929)年
  ◎構造:木造モルタル塗り2階建て
  ◎所在地:埼玉県川越市元町1-1
   ❖国登録有形文化財


この太陽軒は前回紹介した手うちそば百丈を南に2~3分歩いた場所に建つ老舗レストラン。小路の奥まった所にあるので初めてここを訪れる方は場所が少し分かりづらいかも知れませんが、元町のスカラ座という映画館の隣にありますので、その案内看板を目安に進めばこのレトロモダンなレストランに辿りつくと思います。
この太陽軒、東京早稲田の洋食屋で修業したオーナーが開業したレストランとのことで、現在の建物は昭和4年に竣工したものだと言います。施工は地元の棟梁・斉藤玉吉が担当したそうですが、昭和初期の竣工ということもあってか、その時代のモダン建築の影響を受けた作風が特徴としてあげられます。そしてその最大の箇所と言うのが、建物2階角に取り付けられた二つの半円形の小窓でしょう。これは当時国内の建築界で全盛を極めていた〔ドイツ表現派〕のデザインを取り入れたもので、このようなモダンデザインが町の棟梁にも浸透していたということは、ドイツ表現派の建築スタイルがいかにインパクトがあったかが伺えます。但しこの太陽軒の半円形の窓の間には、モダンデザインとは対極をなす古典建築によく用いられているアカンサスを葉をかたどったオーダーが施されているのはご愛敬でしょう・・・・・・。
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by tokyo-farwest-net | 2010-02-28 00:28 | ■埼玉・川越 | Comments(0)

川越の手打ちそば百丈

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◆手打ちそば百丈、旧湯宮釣具店
  ◎設計:不詳
  ◎施工:不詳
  ◎竣工:昭和5(1930)年
  ◎構造:木造銅版貼り3階建て
  ◎所在地:埼玉県川越市元町1-9
   ❖国登録有形文化財


埼玉県川越市というと黒漆喰が塗られた江戸風の蔵造り商家が数多く点在していることから、〔小江戸〕と呼ばれているのは皆さんもご存じだと思いますが、その他にも小江戸と呼びたくなるような建築群が多く現存しています。それは〔看板建築〕と呼ばれるもので、大正12年の関東大震災後に防火対策として木造家屋の外壁に銅版やモルタルやタイルなどを張ったり塗ったりする建築群が、東京下町を中心に数多く出現しています。またこの看板建築というスタイルは間もなくここ川越にも飛び火したようで、町の至る所に小洒落た大衆的な建物が現存しています。
そしてその代表的な作品と言えるのが、現在手打ちそばのお店として使われている旧湯宮釣具店でしょう。2階と3階に銅版が貼られ、時代の経過とともに醸し出された美しい緑青の色合いが印象的な建物ですが、各階の窓上のペディメントや2階窓間に設けられたオーダーの装飾など、古典主義の建築様式を意識したそのデザインは見事と言いたくなる出来栄えです。この建物を建てた施主と棟梁の心意気が伝わってくるような、川越の隠れた名建築の一つであります。

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by tokyo-farwest-net | 2010-02-27 23:27 | ■埼玉・川越 | Comments(0)

川越・中成堂歯科医院

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◆中成堂歯科医院
  ◎設計:印藤順造
  ◎施工:印藤順造
  ◎竣工:大正2(1913)年
  ◎構造:木造2階建て
  ◎所在地:埼玉県川越市幸町14


先日のリストランテ・ベニーノに引き続き、今回も川越市内に残る木造下見板張りの洋館を紹介したいと思います。
この中成堂歯科医院は川越の観光名所として知られる蔵造り通りの西側建つ大正2年竣工の洋館です。少々分かりづらい場所にありますが、蔵造り通りに建つ大正モダンなデザインで有名な埼玉りそな銀行川越支店(旧八十五銀行本店)前の駐車場を抜けていただければ、この洋館を見つけていただけると思います。また以前は少し朽ち果てた感じの建物でしたが、約十年前より歯科医院として再生活用され、ご覧のように往年の輝きを取り戻しております。
なおこの歯科医院は小振りな建物でありますが、大正初期らしい軽やかなデザインが印象的です。なお設計・施工は、先に紹介した旧八十五銀行の施工を手掛けた地元の棟梁・印藤順造が担当したとのこと。旧八十五銀行と共に川越が誇る大正モダン建築と言いたくなるような素晴らしい建築作品であります。

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by tokyo-farwest-net | 2010-02-23 23:23 | ■埼玉・川越 | Comments(0)

川越のリストランテ・ベニーノ

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◆リストランテ・ベニーノ
  ◎設計:不詳
  ◎施工:不詳
  ◎竣工:昭和2(1927)年
  ◎構造:木造2階建て
  ◎所在地:埼玉県川越市田町5
   ❖国登録有形文化財

本日紹介するこちらの洋館は、前回の六軒町の古民家群のすぐそばに建つレストラン。六軒町の蔵造りや和風商家の重厚な佇まいから一転、こちらは洋風下見板張りの明るい雰囲気が印象的な建物です。竣工当初は材木会社の銘木展示場として使われ、その後は郵便局としても使われていたそうです。
またこの建物がある敷地はVの字を広げたような状態なのですが、それを上手く活かし写真左手の土地が狭まった部分の2階部分に大きな窓ガラスと破風が付けられているのですが、これが道行く人の目をとめるインパクトを持っているように思えます。恐らく地元の棟梁が設計・施工に携わったと考えられますが、そのセンスの良さに感心してしまう作品です。川越というと蔵の町というイメージが先行してしまいますが、このような優れた洋風建築の存在も忘れてはいけないと思います・・・・。

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by tokyo-farwest-net | 2010-02-22 22:22 | ■埼玉・川越 | Comments(0)

川越市六軒町の蔵造り商家群

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◆川越市六軒町の街並み


先日久しぶりに川越を訪ねたので、今回から数回に渡ってそれらの写真を紹介していきたいと思います。
まず最初に紹介するのが六軒町。西武新宿線の本川越駅から西に五百メートルほど歩いた場所にある町ですが、蔵造り風商家や伝統的な和風商家が幾つか現存しており、なかなか風情ある一帯です。恐らく狭山・入間方面に抜ける交通の要所としてこの一帯は発展したと思われます。但し観光案内などでは殆ど紹介されておらず、穴場ともいえる地域と言えるでしょう。観光のメインルートから歩いてもそれほどの時間がかからない場所にあるので、関心のある方は一度訪れて欲しい川越らしい街並みです。

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上2点で紹介した和風商家に付属して建てられた洋館。装飾のデザインがセセッション風なのが洒落ている。
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by tokyo-farwest-net | 2010-02-21 19:20 | ■埼玉・川越 | Comments(0)

埼玉・川越の蔵造り商家とその街並み(その1)

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◆川越の蔵造り商家とその街並み・1


前3回は川越に残る近代建築を紹介しましたが、やはりこの町の顔と言えば蔵造り商家の数々と言えるでしょう。
現在見られる川越の蔵造り商家の大半は、明治26(1893)年の大火後に再建されたもの。またこの当時の川越は農産品の取引で繁栄を極めており、明治30年代初頭には地元商人らの誘致により国分寺~川越間に鉄道(現在の西武国分寺線と新宿線の一部)を開通させていることなどでも、当時の町の賑わいが窺えます。
そして文明開化より二十数年が経った当時の川越商人たちが大火後に再建した建物は、洋風建築ではなく伝統的な土蔵商家。またこれらは江戸期に日本橋など江戸の主要都市で流行っていた土蔵商家のスタイルを継承したもので、白漆喰の外壁の上に更に黒漆喰を塗るという手間も予算もかかる手法を使っています。このように江戸時代の伝統を引き継いだ川越の蔵造り商家ですが、塀や地下貯蔵庫には西洋の文化である煉瓦を積極的に使っているということも、明治という時代らしいかなとも思えます。
いろいろと紹介すればきりがありませんが、こちらでは蔵造り商家が多く軒を連ねる一番街の南側にある蔵造り建築の幾つかをご覧ください。

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by tokyo-farwest-net | 2009-08-03 00:03 | ■埼玉・川越 | Comments(0)

埼玉・川越の蔵造り商家とその街並み(その2)

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◆川越の蔵造り商家とその街並み・2

前項に引き続きこちらでも埼玉県川越に残る蔵造り商家を紹介させていただきます。
なお冒頭でご覧いただいた建物は、川越の最古参の蔵造り商家・大沢家住宅店舗(寛政4年:1792年築)です。
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by tokyo-farwest-net | 2009-08-02 23:02 | ■埼玉・川越 | Comments(2)