![]() ◎設計:河合浩蔵 ◎施工:旗手組 ◎竣工:明治44(1911)年 ◎構造:煉瓦造3階建て ◎所在地:神戸市中央区海岸通3-1-5 ❖国登録有形文化財 7月下旬より、当プログと別プログにおいて神戸の建築紹介をさせていただきましたが、取りあえず今回で最終回にしたいと思います。 そういう事で最後に取り上げるのが、海岸通りにある海岸ビルジング。当初は兼松商会の本社ビルとして建てられたものだそうで、設計は神戸とは縁の深い建築家・河合浩蔵が担当しています。また河合と言うと同じく海岸通りにある旧三井物産神戸支店のように西洋の古典建築の装飾スタイルを簡略化し、大正モダンの魁といえる作品を残したことでも知られていますが、こちらはその河合スタイルが完成する寸前のようなデザインが印象的です。明治末に竣工したということを考えると、大正モダン華やかさが孵化する直前の作品とも言えますが、その重厚な風格は明治という時代を体現しているようにも思えます。両隣のビルに挟まれて少し窮屈な感じもしますが、神戸海岸通りでは忘れてはならない名建築であります。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ◎設計:河合浩蔵 ◎施工:竹中工務店 ◎竣工:大正7(1918)年 ◎構造:外壁保存 ◎所在地:神戸市中央区海岸通3 ❖国指定有形文化財 先月末に別プログで商船三井ビルディング(大正11年築)を紹介させていただきましたが、そのお隣にあるのがこの海岸ビルです。 このビルは大正7年に神戸を拠点に活躍した建築家・河合浩蔵の設計により、三井物産の神戸支店として建てられたものです。また建物外観は、古典建築の様式を簡略化したダイナミックなデザインが特徴。スタイル的には大正期の竣工と言うことで〔セセッション〕に分類されるようですが、その時代らしい明るさを感じられる外観になっています。 また平成7年の関東大震災ではかなりの損傷を受けビルの存続は不可能と判断され、現在は外壁を保存し新築の新しいビルへと建て替えられています。このような歴史あるビルの外壁のみを残し新たなビルを建てる手法は、都市部を中心に多く採用されそのたびにその是非が話題なります。しかし神戸海岸ビルには関しては、震災で建物の存続が不可能になってしまったビルのそれまでの雄姿をきちんと後世に伝えようという心が感じられる復元がされています。扉やディティール一つ一つが残されたものをきちんと用いている所でも、その誠意が感じられるのではないでしょうか。とても絵になる美しいビルです・・・・・・。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ◎設計:曾禰中條建築事務所 ◎施工:大阪橋本組 ◎竣工:大正7(1918)年 ◎構造:鉄筋コンクリート・煉瓦造3階建て ◎所在地:神戸市中央区海岸通1-1-1 メリケン波止場入口に建つルネサンス調の石造りの外観が印象的なこのビル、現在はファッション関係の店舗として使われていますが、大正7年に日本郵船の神戸支店として建てられたもの。戦前に建てられた日本郵船の旧事務所は神戸のほか小樽・横浜などに現存していますが、明治竣工の小樽、昭和初め竣工の横浜とは、また違った風味が出ているのがこの神戸支店です。なお昭和20年の空襲で焼失し撤去されたそうですが、それまでは玄関上にドーム屋根が置かれていたとのこと。この当時の建造物は鉄筋コンクリートをはじめとした建築技術の進歩により、デザインをはじめとして物凄い勢いで変貌を遂げていましたが、この神戸支店は少し明治の薫り漂う作風になっています。 またこのビルは戦前の国内を代表する建築設計事務所だった〔曾禰中條建築事務所〕が設計を担当しています。なおこの神戸支店の竣工のまもなく、同建築事務所はアメリカのフラー社の力を借り日本郵船の東京本社(大正12年築、現存せず)の設計に着手、神戸支店とは作風の異なるアメリカ風の大規模オフィスをデザインしました。そのような観点から見ると、日本郵船の神戸支店時代の転換期の作品ということになるでしょうか・・・・・。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ◎設計:渡辺節建築事務所 ◎施工:大林組 ◎竣工:大正14(1925)年 ◎構造:鉄骨鉄筋コンクリート造 ◎所在地:神戸市中央区新港町7-1 先月末に本プログと別プログにおいて新港貿易会館など、新港埠頭周辺の建造物を紹介してきましたが、もう一つ忘れてはいけないのが突堤の手前に建つ倉庫群でしょう。なおここには三井・三菱・住友などの大企業が所有する倉庫も建っていますが、そのいちばん西側には冒頭の写真でご覧頂いた川西倉庫が建っています。無装飾で何の変哲のない倉庫にも見えますが、大正14年竣工と言いますから築85年という年代物の建造物になります。 そしてこの倉庫の設計は、神戸の顔とも言うべき建造物である商船三井ビル(大正11年)を手掛けた渡辺節の建築事務所が担当しているとのこと。渡辺節の設計作品というと華やかなオフィスビルを思い出してしまい、意外な感じもしますがこの倉庫は当時最新鋭の施設だったことは想像に難しくありません。機会があれば中の様子も見てみたい産業遺産であります・・・・・。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ◎設計:大蔵省 ◎施工:森田福市 ◎竣工:昭和2(1927)年 ◎構造:鉄骨鉄筋コンクリート造4階建て、塔屋付き ◎所在地:神戸市中央区加納町12-1 神戸新港埠頭周辺エリアのシンボル的存在と言えば、やはり税関庁舎でしょう。 昭和2年竣工のこの庁舎は大蔵省営繕課の設計により竣工したもの。東京在住の私は税関という言葉を聞くと『ハマのクイーンの塔』でお馴染みの横浜税関庁舎(昭和9年築)を思い出してしまいますが、繊細なデザインの横浜税関庁舎に比べ神戸の税関は力強さを感じる仕上がりが特徴と言えます。円筒状の塔屋をはじめ建物の細部デザインは古典建築の影響を感じますが、それらの多くは簡略化された作りになっており、この当時の最新建築文化の影響を少なからず受けています。スケールの大きさはいつ見ても圧巻される庁舎建築であります。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ◎設計:置塩章 ◎施工:銭高組 ◎竣工:昭和7(1932)年 ◎構造:鉄筋コンクリート造4階建て ◎所在地:神戸市中央区小野浜通1 前回紹介した旧神戸市立生糸検査所の東側に建つのが、旧国立の生糸検査所。昭和7年に戦前神戸を中心に活躍した建築家・置塩章の設計に建てられたものです。市立に国立の生糸検査所が二つも置かれるとは、神戸は面白いシステムを取っていたのだなと以前は思っていたのですが、色々なサイトを見ると昭和6年に神戸市立の生糸検査所は国立に移管され、それに伴い増築されたのがこのビルディングとのことです。 また昭和7年増築の生糸検査所は、この5年前に神戸市により建てられた庁舎ど同様にゴシック様式をデザインをベースにしていますが、神戸市建設の庁舎に比べ重厚なデザインで纏められ、お役所らしさを醸し出しています。なお現在この建物は空き家とのことで、今後の動向が気になるところです・・・・。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ◎設計:神戸市 ◎施工:竹中工務店 ◎竣工:昭和2(1927)年 ◎構造:鉄筋コンクリート造4階建て ◎所在地:神戸市中央区小野浜町1-4 先日別プログにおいて神戸市新港埠頭の新港貿易会館(昭和6年築)を紹介しましたが、そのお隣に建つのがモダンゴシック風のデザインが施されたこのビルディング。現在は農林水産消費技術センターとして使われているとのことですが、もとは神戸市立の生糸検査所として建てられたものです。生糸といえば戦前の日本において対外貿易の主力商品だったこともあり、関西地域の主要国際貿易港である神戸にもこのような施設が存在していたという訳です。 また東京在住の私などは生糸検査所と聞くと、建築家・遠藤於菟設計による横浜生糸検査所(大正15年築)を思い浮かべてしまいますが、この建物にも横浜と同様に蚕の装飾が施されていたり、なかなか洒落っけのあるデザインが施されています。外壁タイルが今風のちょっと味気ないものに張り替えられているのが残念ですが、とても絵になる作品ではないかと思います・・・・。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ◎設計:長谷部竹腰建築事務所 ◎施工:清水組 ◎竣工:昭和9(1934)年 ◎構造:鉄筋コンクリート造3階建て ◎所在地:神戸市中央区栄町通1-1-28 元町よりメリケン波止場へと向かう少し手前の栄町通にあるのが、このクラシカルなビルディング。数年前まで住友銀行の神戸支店として使われていましたが、例のさくら(三井)銀行の合併に伴い店舗の統廃合がおこなわれこちらの店舗は閉店し現在は衣料品店が入居しています。また現在は〔銀泉ビル〕という名称になっているようですが、住友の社章・井桁のマークにちなんだ『泉』の文字がビルの名に付けられている事を踏まえると現在も住友関連の企業が所有しているようです。 住友と言えば戦前を代表する大財閥でしたが、このビルディングもその住友の会社のプライドを表現したような威風堂々とした佇まいが印象的です。また竣工が昭和9年ということもあってか、重厚さの中にもシャープさが感じられるのもこのビルディングの特徴です。そしてこのビルの見どころと言えば、正面左の植物のようなモチーフが絡み合った3連のアーチ窓でしょう。デザイン的に平凡になりそうなこのビルの印象を、この意匠が華やかに彩っています。この3連アーチは本当に久々に見ましたが、いつ見ても本当に素敵です。 なお現在戦前築の住友銀行の店舗は神戸のほかに、大阪の本店が残るのみのようです。当時の財閥が建てた豪華な銀行建築ということでも後世に残す価値がある作品だと思います。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ◎設計:W・M・ヴォーリズ(ヴォーリズ建築事務所) ◎施工:竹中工務店 ◎竣工:昭和4(1929)年 ◎構造:鉄筋コンクリート造3階建て ◎所在地:神戸市明石町38 神戸の旧居留地と言えば、比較的早い時期より歴史的なオフィスビルディングを再生活用した町で知られていますが、その初期例が外資系銀行のビルをインテリアショップとして転用したこの旧居留地38番館でしょう。神戸とは殆ど縁のなかった東京在住の私でも、近代建築に興味を持ち始める前の学生時代の頃より、白と黒のチェック模様のフラッグが玄関前に付いた褐色の石張りの重厚な外観のこの建物の存在は知っていました。 そしてこちらの建物の設計は、かのウイリアム・メレル・ヴォーリズ率いるヴォーリズ建築事務所が担当しています。外観はこの当時の銀行店舗によくありがちの古典様式が纏められているのですが、ヴォーリズならではの味わいが醸し出されています。神戸の歴史的保存活用の転換点とも言うべき建造物がヴォーリズの作品だったのも、何かの縁だったなとも思ってしまいます。真夏の眩しい日差しの旧居留地にヴォーリズの設計作品は、また別の輝きを放っていました・・・・・。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ◎設計:長谷部竹腰建築事務所 ◎施工:竹中工務店 ◎竣工:昭和10(1935)年 ◎構造:鉄骨鉄筋コンクリート造4階建て ◎所在地:神戸市中央区明石町19 旧居留地に現存する歴史的建造物の中ではどちらかと言うと地味な存在ですが、個人的にお気に入りなのが現在ニッセイ同和損害保険の事務所として使われているこのビルです。 昭和10年に神戸海上火災保険のビルとして建てられたそうですが、設計は住友関連の営繕を多く手掛けた長谷部竹腰建築事務所が担当しています。 建物前の道路幅が狭いこともあり少し目に付きにくいですが、上を見上げるととてもシックな4連のアーチ窓などが付いてたり、クラッシックな風合いをペースにモダンさをも兼ね備えたなかなかお洒落なデザインのビルディングです。外観の出来栄えを考えると建物の内装も洒落ているのではないかとも想像されますが、この写真を撮影したのは土曜日だったこともあり内部は見学出来ませんでした。とても気になってしまう神戸の隠れた名建築です・・・・・。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() < 前のページ次のページ >
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