京都市考古資料館、旧西陣織物館
2010年 01月 30日
◎設計:本野精吾
◎施工:大林組
◎竣工:大正4(1915)年
◎構造:煉瓦造り3階建て
◎所在地:京都市上京区今出川通大宮東入ル元伊佐町
❖京都市指定文化財
この京都市考古資料館については、別プログにて既に紹介していますが、個人的に好きな建物という事もあり再び取り上げることにしました。
現在は京都市の考古資料館として使われている建物は、大正4年に西陣織物協会の会館として建てられたもので、設計はのちに京都高等工芸学校(現京都工芸繊維大学)の教授も務めた建築家・本野精吾が手掛けています。この本野という建築家は、20世紀初頭にオーストリアのウイーンやドイツなどで起きた最新の建築文化に触発されたそうで、デビュー作にあたる西陣織記念館でこれまで日本の洋風建築には無かったデザインの簡略化・幾何学的な構成というものに取り組んでいます。
そして出来上がったのがご覧の建物ですが、セセッションと言われる直線的な装飾や、ユーゲントシュティルと言われるヴォリューム感があるデザインが最新の建築スタイルとして好まれていた大正初期としては、かなり違和感がある作品だったと想像されます。また現在では日本国内で昭和初年頃から起きたインターナショナルデザイン・モダニズム建築ブームの先駆的作品という紹介もされていますが、その立ち姿は大正ロマンに溢れる風情があるように思えて仕方がありません。今から95年前、西陣の街並みに突如として現れた白亜の洋館に地元の人たちがどのような反応を示したのかも気になるところです・・・・・。