旧不動貯金銀行京都三条支店・現SACRAビル
2010年 01月 18日
◎設計:日本建築株式会社
◎施工:不詳
◎竣工:大正4(1915)年12月
◎構造:煉瓦造り3階建て
◎所在地:京都市中京区三条通富小路西入ル中之町20
❖国登録有形文化財
現在SACRAビルとして使われているこの建物は、大正4年の暮れに東京芝に本店を置く不動貯金銀行の京都支店として建てられたものです。
不動貯金銀行は明治33年に創立された貯蓄銀行の一つで、戦後の協和銀行(現在のりそな銀行)の母体となった会社であります。また戦前の貯蓄銀行では最大の規模を誇っていた会社で、銀行のメインキャラクターを大黒様をするなど庶民受けする広告戦略をおこなったり、外交員による積極的な営業活動などにより、昭和10年代には当時五大銀行と呼ばれていた三井・住友・安田・第一・三菱の各銀行と肩を並べるまでの預金額を誇る会社へと成長していきます。その中で会社発展の切り札となったのが、当時の銀行では珍しかったモダンな外観の店舗を作るということでした。また大正3年に建築家・関根要太郎(1889~1959)が〔日本建築株式会社:不動貯金銀行の営繕組織〕へ加入したことにより、更にそのモダン路線に拍車がかかって行くのですが、その前兆と言えるのがこの三条支店です。
明治より昭和戦前までの銀行と言えば、西欧の古典建築によく見られる石造りの外壁に列柱を巡らせたものが好まれていましたが、この三条支店は白のタイルに、細部装飾には大正初期から日本でも流行していた〔セセッション〕と呼ばれる幾何学的なデザインが用いられるなど、当時の銀行建築にはあまり無かった明るい仕上がりは、この周辺でもとても目立つ存在です。
なお不動貯金銀行の旧店舗は全国に4棟しか残っていませんが、京都七条烏丸にはその中の数少ない旧店舗七条支店(関根要太郎設計、昭和5年竣工)も現存していますので、興味のある方は是非こちらにもお訪ねください。
1928ビルと同じ三条通りにあるテナントビル。不動貯金銀行の京都支店から、ファッションテナントのビルとしてリニューアルされた建物です。1階が煉瓦造,2・3階が木骨煉瓦造で造られています。外観は全体としてルネサンス風ですが,部分的に幾何学的な意匠を用いています。 SACRA 旧不動貯蓄銀行京都支店 1916(大正5)年 設計 : 日本建築株式会社 施工 : 不明 登録有形文化財 京都市中京区三条通富小路西入中之町 撮影 : 2007.4.15 東面。主として1階部分を見ています。 正...... more