横浜・カトリック山手教会聖堂
2009年 06月 02日
◎設計:J・J・スワガー (Jan J Svager)
◎施工:関工務店
◎竣工:昭和8(1933)年
◎構造:鉄筋コンクリート造り1階、地下1階
◎所在地:神奈川県横浜市山手町44
❖横浜市認定歴史的建造物
前2回は横浜で数多くの設計作品を残したアントニン・レーモンドの作品を紹介しましたが、今回と次回は大正末から昭和初めにかけてレーモンドのもとで活動していた、建築家・ジャン・J・スワガーの横浜に残る設計作品を紹介したいと思います。
スワガーはレーモンドと同じチェコ出身の人物で、大正末にレーモンドの招きにより来日。またその数年後に独立、横浜に事務所を置き昭和15年まで日本で活動していたとの事です。その期間に手掛けた作品についての詳しいことまでは分かりませんが、北海道函館市近郊の上磯にあるトラピスト修道院の改修、また10年程前まで山下町にあったヘルム・ハウス(昭和13年築)などが、スワガーの作品とのこと。そして現存する代表作がこのカトリック山手教会ということになる訳です。
また個人的に興味深いのは、山下町にあったヘルム・ハウスとこの教会の作風の違いについてです。ヘルム・ハウスは外国人向けのアパートとして建てられた1930年代らしいモダニズムな建物、そしてカトリック教会はそれとは正反対のゴシックを基調とした伝統的スタイル。当時、横浜で活動していた建築家が様々なスタイルの設計を要求され、それを難なくこなしていったという事になるのでしょう。また次回は、山手から数キロほど離れた横浜・本牧に残るスワガー設計の洋館を紹介したいと思います。
★参考文献・・・・「日本の美術」2003年8月号・外国人建築家の系譜、堀勇良氏著