横浜海岸通りの昭和ビル
2009年 03月 29日
◎設計:川崎鉄三
◎施工:戸田組
◎竣工:昭和6(1931)年ころ
◎構造:鉄筋コンクリート造り3階建て
◎所在地:神奈川県横浜市中区海岸通り1-1
横浜のメインストリートである、海岸通りと日本大通りが交差した角に建つスクラッチタイルが何とも渋い雰囲気を醸し出しているビルディング。現在はお弁当屋さんやレストランが入居していますが、もとはカストム・ブローカー・ビルとして昭和6年頃に建てられたといいます。
そして設計は不詳と紹介されているものも多いのでが、横浜市が平成3年に発行した『都市の記憶 横浜の近代建築・Ⅰ』によると、このすぐ近くの大桟橋入口にあるエキスプレスピルや、山下町のインペリアルビルの設計を手掛けた川崎鉄三の作と紹介されています。確かにこの三作品、外観デザインはかなり異なりますが、その根底に川崎鉄三のセンスの良さのようなものを感じます。
あと一つ残念なことは、今から数年前にこの右隣にあったキッコーマンビルが取り壊されてしまった事です。この昭和ビルと取り壊されたキッコーマンビルは、2軒セットになった建物で、横浜公園から延びる日本大通りのアイストップ的な役割を果たしていた建物でした。取り壊し以降、長年にわたり工事用フェンスに囲まれた跡地を見ていると、このような名の知られぬ名建築があってこそ街並みは際立っているんだなと思ってしまいます。
1998年か1999年ころに撮影したもの。今回紹介した昭和ビルとキッコーマンビルが二つ並んで建っていた頃の姿。