旧横浜市外電話局、現横浜都市発展記念館
2009年 03月 15日
◎設計:逓信省(中山広吉)
◎施工:安藤組
◎竣工:昭和4(1929)年10月
◎構造:鉄筋コンクリート造り4階建て、地下1階
◎所在地:神奈川県中区日本大通り12
大桟橋通りと本町通りの角に建つ、茶色のタイルがシックな雰囲気を漂わすこのビルディングは、昭和4年に横浜市外電話局として建てられたもの。また数年前より〔横浜市発展記念館〕という、横浜の都市形成の成り立ちや歴史的建造物、ユーラシアの民族の流れを展示する博物館として再生活用されています。
このビルディング、茶色のタイルの美しさに目を奪われがちですが、外観は当時の新しいデザインと古典主義建築の要素をさりげなく取り入れている、なかなか粋な建物でもあります。
まず新しいデザインの要素は、間口の大きい窓。今ではビル全体ガラス張りの建物など当たり前ですが、このような単純明快の窓の配置は、当時としてはモダンそのものだったのではないかと思います。この2年後に竣工した、東京丸の内の中央郵便局に相通じるデザインとも言えるでしょう。
また古典的要素は、1階のアーチ窓上に置かれたキーストンという飾りと、4階の窓間にある梁の柱頭のワンポイント、そして1階と2階の間を区切るコー二スという横帯。三つともシンプルな出来栄えですが、西欧の古典建築のスタイルをさりげなく取り入れていたりもします。
モダンでありながら伝統的要素を兼ね備えているこのビル、建物の外観も素敵ですが、横浜発展記念館内の展示内容もとても勉強になるものです。近代建築や昔の街並みに興味がある方には、ぜひ訪れて欲しいお勧めのスポットです。