旧安田銀行横浜支店、現東京芸術大学
2009年 03月 02日
◎設計:安田銀行営繕課
◎施工:大倉土木
◎竣工:昭和4(1929)年10月
◎構造:鉄筋コンクリート造り2階建て
◎所在地:神奈川県横浜市中区本町4-45
関内駅から続く馬車道と本町通りの角に建つ、石造り風の重厚な建物。現在は東京芸術大学の施設として使われていますが、昭和4年に戦前の大財閥のひとつ安田銀行の横浜支店として建てられたものです。戦後は富士銀行の店舗として10年程前まで使われていたので、安田銀行というより富士銀行の店舗として馴染みがあるかも知れません。
安田銀行は大正末に他銀行の吸収合併し事業を拡大。その頃よりこの横浜支店のような、トスカナ式の列柱にアーチ窓、軒周りに雷紋(中華屋さんで馴染みのあの模様)を取り付けるという、〔安田銀行スタイル〕と言われる店舗を全国各地に新築させていきます。正確な数までは把握できませんが、昭和30年代に発行された富士銀行の店舗案内を見ると、30店舗近くがこのスタイルで建てられています。恐らく広告媒体が新聞など限られたものしかなかった時代、同じスタイルの店舗を作ることで顧客に安田銀行を覚えてもらう・・・・、と言った狙いがあったのではないかと私は考えます。
しかし時は流れ、旧安田銀行の兄弟たち?は横浜のほか、小樽・函館・帯広に残るのみになっています。なお函館の旧店舗は昭和43年よりホテルと再生活用され、函館の景観を彩る重要な建物として第二の人生を歩んでいます。東京芸術大学の所有になってから横浜の旧店舗内は入っておりませんが、以前の建物内は戦前の銀行らしいレトロな雰囲気溢れる空間でした。今もその雰囲気を残しているのか、一度中を見学してみたいものです・・・・。
◆ホテルニューハコダテ(旧安田銀行函館支店) ・・・・・かっての銀行を転用した、開業40年、築75年のクラッシックホテル このところ函館に訪れるたび感心させられるのが、この街のホテル建設ラッシュ。 およそ半年に一回のペースで函館へ訪れている私にとって、相次いで開業している新築ホテルの数々には、ただ驚きの連続。ほんの数か月しか間隔は開いていないのだが、本当に浦島太郎になったような気分である。昨年の初夏に函館へ訪れた時は、空港からのリムジンバスの停車箇所も新築ホテルに合わせ変更されて...... more