江戸東京たてもの園・旧前川国男邸
2009年 01月 23日
◎設計:前川国男
◎施工:大和田建設
◎竣工:昭和17(1942)年
◎構造:木造
◎所在地:東京都小金井市桜町3-7-1・小金井公園内
・・・・・旧所在地は東京都品川区上大崎
本日は東京小金井市にある、〔江戸東京たてもの園〕にある建物を紹介させていただきます。この木目と大屋根が印象的なこの建物は、昭和を代表する建築家・前川国男(1905~1986)の自邸として、昭和17年に東京の上大崎に建てられたものです。
昭和17年というと太平洋戦争が開戦した翌年。皆さんもご存じのように昭和に入り日本は軍事体制へと突き進み、昭和10年代に入ると、鉄やコンクリートなどの建築資材にも統制がかけられ、昭和13年あたりを最後に大規模な建造物が建てられなくなります。その後も木材の統制もかけられ、まともな建物は造られなくなったという時代に、前川邸は建てられた訳ですが、柱に使い古しの電柱を使うなど、竣工に至るまで、いろいろと苦心した作品だといいます。
また邸宅内は一部にロフトを置く、とても広い空間になっているのが特徴。この旧前川邸に訪れるたび思い出すのが、前川の代表作の一つである東京上野の文化会館。建物の規模こそ違いますが、あの独特の広がりのある空間には共通するものを感じてしまいます。戦争や時勢に関係なく、建築家の想像力は無限に広がっていったのだなと思わせてくれる素敵な邸宅です。
このお宅は戦時中に建てられたもので、資材が限られている時代ということもあり、電信柱などを再生利用しているとのことですが、そのような暗い時代背景を感じさせない建築家の自由な創造力が窺える作品ではないかと思います。
小金井市なんですね、私武蔵野市に住んでいるから近い!
私も多摩の在住なので自転車でたびたび訪れていますが、紅葉の頃など本当に素敵ですよ。