東京東久留米市の村野家住宅(顧想園)
2016年 01月 01日
◎設計:不詳
◎施工:不詳
◎竣工:天保9(1837)年・・・・・母屋、明治後期(1900年ころ)・・・・・離れ
◎増築:安政4(1857)年
◎改修:大正15(1926)年、昭和25(1950)年、昭和40(1965)年
◎構造:木造平屋
◎所在地:東京都東久留米市柳窪4-283
❖国登録有形文化財
昨年の秋、久しぶりに生まれ故郷の東京多摩北部を訪ねました。玉川上水の分流の一つ、野火止用水(伊豆殿堀)や黒目川が流れるこの一帯、古き良き武蔵野の風情があちらこちらに残る長閑な場所であります。その中でも武蔵野らしさが残る一帯は、東久留米市の柳窪でしょう。黒目川の源流そばにある柳窪天神社をはじめ、この一帯は緑豊かな深い森が広がっています。その森の真ん中にあるのが、今回取り上げる村野家住宅です。この村野家は地元を代表する豪農の家だったそうで、このような立派な屋敷が今も残っています。
この時は一般公開がおこなわれることを知り、久々にこの地を訪れましたが、予想以上に美しい屋敷と庭は感動の一言でした。この村野家は黒目川のほとりに居を構えいますが、湧水の量が一定しない武蔵野台地の中央でこのような豪農が川沿いに居を構えているのはとても珍しいことだと思います。恐らく一年を通じて湧き出す黒目川の水が、この家の繁栄を支えたのでしょう。幾つもの世紀を生き抜いてきたケヤキの大木に茅葺の屋敷、なかなか絵になる構図でした。是非とも後世に残して欲しい武蔵野の宝であります。