神戸海岸ビル、旧三井物産神戸支店
2010年 09月 08日
◎設計:河合浩蔵
◎施工:竹中工務店
◎竣工:大正7(1918)年
◎構造:外壁保存
◎所在地:神戸市中央区海岸通3
❖国指定有形文化財
先月末に別プログで商船三井ビルディング(大正11年築)を紹介させていただきましたが、そのお隣にあるのがこの海岸ビルです。
このビルは大正7年に神戸を拠点に活躍した建築家・河合浩蔵の設計により、三井物産の神戸支店として建てられたものです。また建物外観は、古典建築の様式を簡略化したダイナミックなデザインが特徴。スタイル的には大正期の竣工と言うことで〔セセッション〕に分類されるようですが、その時代らしい明るさを感じられる外観になっています。
また平成7年の関東大震災ではかなりの損傷を受けビルの存続は不可能と判断され、現在は外壁を保存し新築の新しいビルへと建て替えられています。このような歴史あるビルの外壁のみを残し新たなビルを建てる手法は、都市部を中心に多く採用されそのたびにその是非が話題なります。しかし神戸海岸ビルには関しては、震災で建物の存続が不可能になってしまったビルのそれまでの雄姿をきちんと後世に伝えようという心が感じられる復元がされています。扉やディティール一つ一つが残されたものをきちんと用いている所でも、その誠意が感じられるのではないでしょうか。とても絵になる美しいビルです・・・・・・。