旧住友銀行神戸支店、現銀泉神戸ビル
2010年 08月 21日
◎設計:長谷部竹腰建築事務所
◎施工:清水組
◎竣工:昭和9(1934)年
◎構造:鉄筋コンクリート造3階建て
◎所在地:神戸市中央区栄町通1-1-28
元町よりメリケン波止場へと向かう少し手前の栄町通にあるのが、このクラシカルなビルディング。数年前まで住友銀行の神戸支店として使われていましたが、例のさくら(三井)銀行の合併に伴い店舗の統廃合がおこなわれこちらの店舗は閉店し現在は衣料品店が入居しています。また現在は〔銀泉ビル〕という名称になっているようですが、住友の社章・井桁のマークにちなんだ『泉』の文字がビルの名に付けられている事を踏まえると現在も住友関連の企業が所有しているようです。
住友と言えば戦前を代表する大財閥でしたが、このビルディングもその住友の会社のプライドを表現したような威風堂々とした佇まいが印象的です。また竣工が昭和9年ということもあってか、重厚さの中にもシャープさが感じられるのもこのビルディングの特徴です。そしてこのビルの見どころと言えば、正面左の植物のようなモチーフが絡み合った3連のアーチ窓でしょう。デザイン的に平凡になりそうなこのビルの印象を、この意匠が華やかに彩っています。この3連アーチは本当に久々に見ましたが、いつ見ても本当に素敵です。
なお現在戦前築の住友銀行の店舗は神戸のほかに、大阪の本店が残るのみのようです。当時の財閥が建てた豪華な銀行建築ということでも後世に残す価値がある作品だと思います。