東京都慰霊堂、旧震災記念堂
2010年 04月 01日
◎設計:伊東忠太、佐野利器
◎施工:戸田組
◎竣工:昭和5(1930)年
◎構造:鉄筋コンクリート造
◎所在地:東京都墨田区横網2-3-25
❖東京都選定歴史的建造物
JR総武線両国駅北の横網町内に建つのが、今回紹介する東京都慰霊堂です。この建物は昭和5年に大正12年9月に起きた関東大震災の犠牲者の霊を弔う〔震災記念堂〕として建てられたものですが、昭和26年には太平洋戦争の被害者の霊も合弔し、東京都慰霊堂と名称を改称し現在に至っています。
また鉄筋コンクリート造の慰霊堂は寺社建築によく見られる純和風のデザインになっていますが、どことなくそれらの物とはちょっと違った雰囲気が漂います。それもその筈、この慰霊堂は築地本願寺、明治神宮、平安神宮などの設計を手掛けた建築家の伊東忠太(1867~1954)がデザインを手掛けたからです。伊東忠太といえば明治中期に中国やインドの寺院建築の実地調査をおこない、その調査の影響もあったのでしょうか自らの設計作品では東洋趣味の影響が見られるアクの強い設計作品を残しています。この慰霊堂もその中の一つではないかとも思います。慰霊堂の西側に建つ三重塔や建物各所にいる動物のモニュメントなど、建物各所には伊東忠太らしい持ち味が十分に発揮されているので、そちらもじっくり観察していただくとこの建物の摩訶不思議さを更に実感していただけるかも知れません・・・・・。