東京千代田区の九段下ビル(旧今川小路共同建築)
2010年 03月 26日
◎設計:南省吾、震災復興助成社
◎施工:不詳
◎竣工:昭和2(1927)年
◎構造:鉄筋コンクリート造3階建て
◎所在地:東京都千代田区神保町3-4
この古びたビルディングは、地下鉄九段下駅そば日本橋川の畔にあるものです。
現在は九段下ビルと呼ばれていますが、もともとは震災復興助成社の今川小路共同建築として昭和2年に建てられたもの。大正12年の関東大震災後の不燃建築促進のために建てられた、震災復興建築の一つであります。なおこのビルディングの建築主である震災復興社は同ビルの建設に際し、1階と2階部分を店主の店舗兼住宅、また3階部分を貸し部屋にし建設費の負債返済に充てようと計画したそうですが、当初のシナリオ通りには事は進まず多くの負債を抱えたまま解散したとの事です。ちなみに戦前、この建物のような不燃素材の共同建築を建てる事例や計画は幾つかあったようですが、現存する建物などから考えると実現に至るまで難しいプロジェクトだったと推測されます。
またこの九段下ビル、以前は1階部分に万遍なくテナントが入居する活気あふれるビルでしたが、現在ではそのテナントも少しずつ撤退。また外壁には防護用のネットが貼られ、近いうちに解体されるようです・・・・。
❖参考・・・・・・「建築探偵入門」東京建築探偵団著、1986年、文藝春秋社刊
神保町から靖国通りを西にすすんで九段下へ向かうと現れる、古い横長の雑居ビル。関東大震災で被災した近隣の商店主達が共同出資して組合を作り、公庫低利融資を受けて耐震・耐火を意図して建設した、今川小路共同建築という商業施設兼用の復興住宅。現在は九段下ビルという名称になっています。 1階は路面店舗、2階には商店主の居宅、3階は貸事務所になっていたそうです。今はかなり老朽化が進み、かなりの部分がネットで覆われています。ネットの隙間から見える赤褐色のタイルは磁器タイルだそうです。インターネットの情報によ...... more
この九段下ビルですが、下の写真をご覧いただければお分かりのように、入居しているテナントはあと僅かです。
靖国通り沿いには年代物のビルが結構な数ありましたが、このところその殆どが姿を消してます。例えリニューアルしても三階建てのビルだと今の尺度には付いていけないのでしょうかね・・・・。